今日から私、キケンでクールな彼に溺愛されます。
「これ、暁の連絡先……?」
「あぁ」
え?何で私に教えてくれるの……?
「またなんかあったら電話しろ」
いつもの低いトーンでそう言う暁だけど、私は確かにその言葉の中に優しさを感じた。
今日あったことや、男性恐怖症なことを知ったから、暁なりに私のことを心配してくれているのかもしれない……。
私は勝手にそう解釈した。
「暁?」
突然声がしたと思ったら、前から綺麗な女の人がこっちにゆっくりと近づいてきた。
その人があまりにも綺麗で……私はつい、見惚れてしまった。
しかし、女の人は高いヒールを履いているからか、道路に転がってる石につまずき……その場で転んでしまった。
その拍子に、持っていた紙袋に入っていた物が飛び散り、私は急いで女の人に駆け寄った。
「大丈夫ですか……?」
次に、女の人が立つのに手を貸そうとしたんだけど……伸びてきた暁の手によって女の人は立ち上がった。
その姿が、悔しいほど絵になっていて……あたしは何故か見ていられなくて視線を逸らした。
「何でここにいんだよ」
「え?あぁ、うん。友達の家がこの近くで……その帰りに頭が痛くなって、薬局に寄ったの」
自分が聞いたくせに、暁はうんともすんとも言わず持っている袋を奪い取った。