梶山書店物語〈壱〉
「…………………」

あれは夢じゃなかった?
夢だったら夢で問題になる。

朝起きたら千尋くんは姿は無かった。
机の上に財布と一枚の¨出掛ける¨の書き置き。

問題は、そこじゃない。
自分が、素っ裸でいる事だ。

記憶が無いと言えば嘘になる。だって蘇ってくる昨日の夜。

自分、何やってんだよ。

律儀に洗濯していてくれている。着替えて帰ってくる前に逃げなければ。

今、会ったら何話せばいいのかわからない。

「チヒロいますカー?」

勢いよく扉が開いた。

「いや、いないです」





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