再会～初恋のやり直し～
家に帰ってみると、正輝の様子がおかしいことに気づく。最近自分のことで精一杯で子供のことがおろそかになっていたことに気づいた。

「どうした？正輝？遊びにいかないの？」

「うん。みんなオレのことウザイだって」

「なんで？」

「学級委員のオレはいいこちゃんで、なんかとっつきにくいんだってさ。学委員のオレとはつきあいたくないんだって。サッカーや野球の仲間にもいれてもらえないんだ。オレ学級委員なんてやりたくなかったよ。皆とサッカーや野球やりたいよ。」

「正輝。」

私は考えてこう言った。

「じゃあ、学級委員なんてやめちゃえば？いい子ちゃんなんてやめちゃえば？」

まるで自分に言い聞かせてるように言った。

「いいじゃん。たまには自分のやりたいようにやっちゃいなよ。言いたいことは言っちゃいなよ。我慢することないよ。お母さんはいつだって正輝の見方だから思いっきりやりたいようにやっちゃいな！」

「いいの？」

私は力強く頷いた。彼の顔が明るくなった。もしかしたら以前”がんばりなさい”って言った私の言葉を気にしていたのかもしれない。その後、彼は学級委員をやめたいと申し出たらしい。担任の先生とも揉めたらしいが、彼は自分の意思を貫いたらしい。先生に刃向かう彼を見たクラスメートは彼に好感を持ったようで、”優等生”というレッテルはなくなったみたいだ。

後日先生から電話をもらったが、私は本人の意思に任せるとだけ伝た。

結果からいうと、学級委員は続けるがいい子ちゃんは辞めたらしい。サッカーも野球も仲間に加わり、いたずらにも率先して参加してたらしい。オレ学級委員らしくない学級委員だな。と笑いながら話してる正輝は、以前の正輝に戻っていた。もしかすると学級委員という肩書きに縛られていたのは彼自身だったのかもしれない。その気持ちがクラスメイトに伝わりギクシャクした関係になってしまったのかもしれない。

私が学級委員だったときも同じだったのかな。そして今も。妻という肩書き。母という肩書きに縛られているのは私自身なのかもしれない。
< 36 / 45 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop