再会～初恋のやり直し～

その夜は家族３人で食卓を囲み言いたいことを言い合って笑いあってお赤飯を食べた。子供は疲れたようで今日は早めにお布団に入った。

子供が寝た後、夫婦で話した。

「で、どうするつもりだ？三好って男にするのか？それとも市原って男か？」

「あなたって、こんな楽しい方だったんですね？」

「ははは。ただの変な親父と思ってたか？」

「はい。」

「仕方ないな。お前にはそう接してきたからな。オレ結婚っていう制約が怖かったんだ。結婚したらこうしなきゃいけないとか。子供のためにこうしなきゃいけないとか。そういう縛りが怖くてな。いつでも自由でいたかった。だからお互い干渉はしたくなかった。そこに愛だの恋だのあったら面倒くさいんじゃないかと思ってたんだ。だから極力お前とは関わらずいた。でも一応世間体とかは考えて家族はあった方がいいだろうとか思って結婚したんだ。ずるい男だろ？だから結婚した後も好き勝手に恋愛もした。結婚してくれって迫られたらオレは結婚してるんだ！なんて家族の写真を見せたりして。ホントひどい男だろ？」

「ひどい男ですね。でも私はなんだかうれしい。だって旦那の別れ話に私は勝者として出現するわけでしょ？私は妻よ！って。なんか気持ちいい。」

「お前もかなりの悪女だな？」

「じゃあ、金曜日の夜はそういう女性と過ごしてたってわけね？」

「まあな。でもそういう生活も飽きてきててな。」

「昨日、正輝と野球を久々に見にいって思った。なんかこういう生活も楽しいな。って。父親って存在もいいかもって！」

「そんなこと言って。」

「今まで、正輝に関わってこなかった分いっぱいいっぱい正輝には教えてやりたいことがある。なんていったってオレの息子だもんな。」

「はい。間違えありません。」

「その市原って男、不安なんだろうな。子供がホントに自分の子なのかどうか。男って全くって言っていいほど、実感ないからな。自分の子だって。」

「そうなんですね。でも奥さんが亡くなってしまった以上誰が何を言ってもダメみたいなの。」

「オレの思うに、奥さんが生きてたとしても不安だったんじゃないか？要するに市原って男は三好って男にコンプレックスをもってたんだろ？お前に対する好きって気持ちも多分三好って男への対抗心が大きくさせたと思うな俺は。正直お前は今のところどっちが好きなんだ？」

「そうね。やっぱり、ずっと私のために独身を貫き通してくれてたという三好君かな？」

「エッチも三好の方がよかったのか？」

「あなた！」

「我妻ながら面白いなお前。でもそれ聞いたら市原って男、またへこんじゃうな。」

「彼だって、三好君へのあてつけの気持ちがあって私を抱いたんだし！お互い様じゃない？」