君が恋に落ちるまで。




”分からない”と言いつつも
俺は彼女が断れないように
拒めないようにしている。




結局彼女は”流されている”だけで
そこに彼女の意思はないように思える。




「 ・・・・今、瑞穂ちゃんは誰のことを
  考えてる?誰を想って、誰のために
  泣いてるの? 」




慧くんを想い、そして俺の心を想って
涙を流しているのだろう。




ずるいのは分かっている。
俺がこう言えば、彼女が
困ることも分かっていた。




「 ・・・・悠也さん・・・ッ 」




俺は彼女を愛しているんだろうか。
それとも、愛しかけているんだろうか。




格好悪い嫉妬も、独占欲も、
”ほら、俺は大人なんかじゃないよ”と
今の彼女に言って何になるのか。
そんなことを思いながら泣いている
彼女の唇を塞いだ。





< 132 / 245 >

この作品をシェア

pagetop