ヒコーキ雲に乗って
ふと部屋の隅っこに目をやる。
そこには、毎日暗くなるまで走り続けていた頃の私が、必死に手に入れようとしていた宝物があった。
高校時代陸上部に所属していた私は、長距離選手として市内ではそれなりに注目を集めていた選手だった。
小さい頃からかけっこは苦手だったが、マラソンは得意だった私は、中・高と陸上部で、ずっと長距離選手として走って来た。
中学の頃は、どちらかと言えばただ走るのが楽しくて、記録や賞にはあまり興味がなかったが、高校に入り、どうせ走るなら良い記録を出して賞を目指した方が楽しいと思い出した。
それからは、他の部員が帰った後も練習し、朝練も欠かさなかった。
その努力の賜物が、このトロフィーというわけだ。
あの頃は、辛い事もたくさんあったけど、本当に毎日が充実していた。
何もかもに本気で取り組める自分がいた。
-もう一度、あの頃の自分を取り戻したい。
私はベッドから立ち上がり、携帯電話を手に取った。
そして貴子と夏海に短いメールを送った。
“私も荻原ゼミにする。”
そこには、毎日暗くなるまで走り続けていた頃の私が、必死に手に入れようとしていた宝物があった。
高校時代陸上部に所属していた私は、長距離選手として市内ではそれなりに注目を集めていた選手だった。
小さい頃からかけっこは苦手だったが、マラソンは得意だった私は、中・高と陸上部で、ずっと長距離選手として走って来た。
中学の頃は、どちらかと言えばただ走るのが楽しくて、記録や賞にはあまり興味がなかったが、高校に入り、どうせ走るなら良い記録を出して賞を目指した方が楽しいと思い出した。
それからは、他の部員が帰った後も練習し、朝練も欠かさなかった。
その努力の賜物が、このトロフィーというわけだ。
あの頃は、辛い事もたくさんあったけど、本当に毎日が充実していた。
何もかもに本気で取り組める自分がいた。
-もう一度、あの頃の自分を取り戻したい。
私はベッドから立ち上がり、携帯電話を手に取った。
そして貴子と夏海に短いメールを送った。
“私も荻原ゼミにする。”