三毛猫レクイエム。


「ありがとう」
「え?」

 突然の私の言葉に、ヒロは首をかしげた。

「あきの話ができて、嬉しかった」
「……真子さん」

 私は微笑んで、

「あきのこと、こうやって笑って話せるの、凄く嬉しい」

 と伝えた。ヒロは無言で目を見張って、私を見ていた。

「ヒロ?」
「いや、なんか……」
「うん?」

 ヒロは少し困ったようにヨシを抱いていないほうの手で頬をかいて、

「タキが真子さんのこと、凄い大切にしてた理由がわかった気がした」
「なに、それ?」

 照れたようなヒロの言葉に、私はまた吹き出してしまう。

「……本当に、ありがとう。それじゃあ、そろそろ」
「あ、うん。ヨシのこと、ありがとう」
「どういたしまして」

 二人して立ち上がったのに、二人ともその場を動かない。なんとなくヒロと離れがたかった。

「あの」
「うん?」

 私はヨシをなでた。

「また、ヨシに会いたい」

 そう言ってヒロを見上げると、ヒロは笑顔で頷いてくれた。
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