三毛猫レクイエム。



 ねえ、あき。
 私は、前に進めるかな?

 あきのことを忘れなくても、あきのことを想い続けていても、私は前に進めるかな?
 この秒針に、油を差したら、私は前に進めるかな?

 このままじゃいけないことはわかってる。
 だけどね、あき、やっぱり何かが足りないの。

 あき、貴方の声を聞かせて欲しい。



 私は、ベッドに横になって目を閉じた。
 今でも目を閉じれば、あきの笑顔が鮮明に思い出される。
 一つ一つの仕草を、思い出すことができる。

「真子」

 大好きだったその声も、はっきりと耳に残ってる。
 だけど、あきはもう、私の隣にはいないんだ。


 錆び付いた秒針が、それでも時を刻むためにと小刻みに震えていた。















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