欠点に願いを
「…何?」
ちょっとドキドキしながら、そっとココの方に向く。
ココは心配そうに、眉尻を下げていた。
……うぅ~ドキドキする。目ぇ閉じても良いですか?
「動かないで下さいね」
ココはそう言って、俺の前髪をかきあげる。
額が少しだけ痛む。
けど、ココの澄んだ目に見つめられたら、額の痛みどころじゃなかった。
…あぁもう心臓がバクバクする! 今すぐ下向きたい!!
「……やっぱり。浩太先輩、血が出てますよ」
「…………え? 俺、出血してんの?」
予想外の反応に、俺は拍子抜けした。
もっとドキドキで楽しい反応を期待してたのに。……じゃなくて!
出血? いつしたんだろ?
「もう殆ど止まってますけど、一応洗って消毒した方が良いかも」
ココは俺の額を観察してから立ち上がった。
そのまま雄一の所へ向かう。
「雄ちゃん! 浩太先輩が怪我してるから、保健室に連れて行きたいんだけど」
「浩太が怪我? …あ~、さっき何か悲鳴あげてたね。良いよ、連れて行って」
部内ではココだけが、入学当時から雄一を「雄ちゃん」と呼んでいる。
先輩後輩に関わらずあまりにも親密なんで、俺は雄一とココが付き合っていると思ってた訳だが。
雄一曰わく、どうやら違うらしい。
「浩太先輩、行きますよ」
そう言って、ココは座ってる俺に手を差し出した。
「行く…って、何処に?」
「保健室です。消毒しなきゃ」
「良いよ、こんなん大した」
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