欠点に願いを






「発声練習の事。実際に役に選ばれてる奴とか、仲良しの雄一に聞けば良いじゃん」


何か柔らかい物で、額をポンポンと軽く叩かれる。軽く染みる。
恐らく、ココが脱脂綿で消毒してくれてるのだろう。
たぶん、ココは俺の顔を覗き込んでるだろう。目を開ける事が出来ない。

発声練習の事を俺に聞いた理由……。
俺と話したかったから、なら良いな。


「発声練習を一番楽しんでそうなのが、浩太先輩だからです」

「一番楽しんでるのが、俺?」

「はい、そうです。何かコツとか知ってるかなって」


さすがに俺の期待通りではないか。
ココ、色々と観察してるんだなぁ。
ピリピリと紙を破く音がする。


「誰かに届ける、か。さすが浩太先輩です、勉強になります。ありがとうございます。……終わりましたよ」


俺はそっと目を開ける。
ココは目の前で微笑んでいた。
ドキドキする、今すぐ目を閉じ直したい。でも、ココの笑顔を見ていたい気もする。





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