欠点に願いを






「雄ちゃんの話によると、先輩はスポットに額をぶつけて怪我したようです。怪我の保護も兼ねて、念の為に絆創膏貼っときました」


あぁー。そういや、スポットライトの角に額ぶつけたっけ。
俺の阿呆さ加減が情けなくて、ココに見つめられるのも照れ臭くて、俺は下を向いた。


「……うん。だせーな、俺」

「そんな事は無いですよ」


わざわざココはかがんで、俺の顔を覗き込んできた。
この状態で目を逸らそうとするなんて、さすがにあまりにも失礼すぎる。
必然的に、俺もココを見つめる。


「浩太先輩が怪我に気付かなかったのは、スポットに集中してたからでしょ? 浩太先輩がスポットの調整を全部やってくれたから、あたし達は安心してスポットを操作出来たんです」


ココは満面の笑みで、俺を見つめる。
緊張する。けど。

ココのこの笑顔を見れるなら、人の顔を見て話す練習をしてもいいと思った。


「ありがとう、ココ」

「いいえ。戻りましょう」


ココを好きになったキッカケなんて未だに分かんないけど。
ココの何処が好きなのかは分かった。

俺が目を逸らしてても、わざわざ覗き込んでまで目を合わせようとしてくれるトコが好きなんだーーーー。




文化祭まで、あと半月。






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