引っ込み思案な恋心。-3rd~final~





「よっしゃー!これで俺も浮かれられるな。みんなさっさと座れよ。柚が作ったお菓子食えー」



「ちょっとー、うちらも頑張って作ったんだけど〜」



「あかねちゃんはほとんど失敗してたじゃん。この焦げ過ぎのヤツとかあかねちゃんだからみんな気を付けてね〜」



「ひどい、あゆ〜」






みんなが笑って、この日を迎えることができた。





中学校の卒業式は昨日だったけど、本当の卒業は今日なのかもしれない。





みんなの進路がやっと決まった、今日という日が…。








その後みんなでお菓子を食べながら、ななっぺが昨日撮った写真を眺めたり、思い出話をしたりしながら、あっという間に時は過ぎていった。





このメンバーで勉強会をしている時もすぐに時間が過ぎていったけど、今日は楽しい話ばかりしているせいなのか、さらに時の経過が早く感じる。






「俺達も半月経ったら高校生なんだな…。何か全然実感ないけど」



「こうやってみんなで集まれるのも最後かもしれないね。春休みは進学準備とかあって忙しいでしょ?」



「最後…か。そんな風に思いたくないけど」






陽が陰り始めて、何となくしんみりとした雰囲気になってしまった。





すると、あかねちゃんが「はいはい!」と手を挙げた。






「ちょっとさぁ…いいかな?倉本に言いたいコトあるんだけど」



「え…?」






倉本くんももちろん目を見開いていたけど、それを聞いていた一同も驚いた。





あかねちゃん…、まさかヨリを戻そうとする気なんじゃ…?





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