引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
「まっ、まあ……入学してから気長に探すからいいよ!名前と顔はバッチリ覚えてるし」
「ソイツが受かってなかったら笑えるよな〜」
「ホントだよねー。映美佳が何のために頑張ってきたんだか〜」
「瀬川もあかねちゃんも、そういうこと言わないでよ!!柚、瀬川がいるから大丈夫だとは思うけど、気を付けて帰ってね。あかねちゃん、行くよ!」
「柚、またねー。春休み、近いうちにまたお茶しよーね」
「うん。あかねちゃんも映美佳も気を付けてね」
映美佳の好きな人も、R高校に受かってるといいな。
そう思いながら私は部屋を出ていく映美佳とあかねちゃんに手を振った。
「俺も春休みは色々忙しいんだよな。陸上部の練習にも参加する予定だし」
「入学する前から陸上部にまじって練習するんだ?すごいね…」
「まあ一応スポーツ推薦で通ってるしな。顧問の先生によると、すでに俺は大歓迎らしいし」
「さすが全国大会まで行った拓…」
すると拓が、テーブルの上に置いてあった卒業アルバムを手に取った。
実はその卒業アルバムは、私のもの。
昨日の夜、拓にメールで「せめて勉強会のメンバーには寄せ書き書いてもらったら?」と提案されて、それなら頼めるかもしれない…って持って来たんだ。
実際みんなで盛り上がってる時に、順番に回してもらった。
「俺、書いてなかったよな?最後に書いていい?」
「あ…うん」