引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
「じゃあ、バスの中でこっそりメールするね」
「いや…、柚、バス弱いんだろ?それに前の方だとセンセーいるし。ケータイ見つかったら、たぶん旅行中没収になるぞ」
「あ、そっか。じゃあ…どうしよう?」
「今日も集団で見学三昧だし、そこでイケるトコ見計らって柚に話しかけるから」
「うん、分かった」
そして拓は、列の最後尾なのをいいことにみんなにバレないように後ろから私の右手を握ってきた。
「旅行ならもっと柚と話せると思ってたのに。意外に話せないもんだなー」
「明日は自由行動だよ。それまでの我慢だね」
「…だな。今はこれくらいで我慢しとこ」
拓が一歩距離を詰めてきて、握られていた手に更に強さを感じた。
これだけでも見られてないか、ちょっと恥ずかしいんだけど…
でも、久しぶりに拓に触れられて、少し喜んでいる自分もいる。
そう思っていたところで、バスの入口が近付いてきてしまった。
「柚、頑張れよ」
耳元で拓の声が聞こえて、私の手を握っていた拓の手がゆっくりと離された。
そのまま拓は、バスの後ろの方の所定の位置。
私は前の方の席に向かった。