引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
「あ、杉田さん。窓際の方がいいよね?」
「ごめんね、蘇我さん」
もちろん私と拓が最後に乗り込んだから、私の隣の蘇我さんはすでに座っていて、私は申し訳ないなと思いながら蘇我さんに軽く席を立ってもらった。
「瀬川くんと話してたんだ?」
「うん。それでちょっと遅くなっちゃった」
私と蘇我さんが同時に席に着くと、いきなり後ろの方で拓がまたハイテンションな大声を上げ始めた。
「瀬川くん…、ずっとあんな感じだよね。疲れないのかな?」
「どうだろう?そのうちバスの中で寝るかも…」
「二人でデートしてる時もあんな感じ?」
「いやっ!全然!てか、今は旅行中だからテンション高いだけだよ、たぶん」
「まあ…デート中もアレだったら、杉田さんも疲れるよね…」
蘇我さんに何となくの愛想笑いで返事をして、チラッと後ろの方を確認してみる。
昨日と全く変わらない勢いで騒いでいる拓を見て、ふとバスに持ち込んだ自分のセカンドバッグに付けられたキーホルダーに目を落とす。
もちろん、これは昨日拓にもらったもの。
昨日はあんまり拓と話せなかったけど、これを見ていると不思議と元気が出てくるような気がした。