のたお印の短編集
蹴りの風圧で、フワリと靡く耕介の前髪。

「…避けるの上手いですね」

「馬鹿言え…一瞬カミサンの顔が脳裏をよぎったよ…結婚してねぇけど」

表情を強張らせる耕介を見ながら、雛罌粟は冷ややかな視線を送る。

「ちと確認するが…お前いじめられてたんだよな?」

「ええ…クラスの男子によって集って、性行為を強要されていました…」

抑揚のない声で言う雛罌粟。

「んで…それを俺が助けたんだよな?」

「いいえ?」

耕介の問いかけに、雛罌粟は首を左右に振った。

「探偵さんは邪魔したんです、私のお楽しみを」

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