のたお印の短編集
仲間のうち、二人がのされた。

それだけで十分だ。

近頃の高校生は、仲間の敵討ちの為に体を張って喧嘩したりしない。

勝てないと分かると即座に逃げる。

仲間を見捨てても、か弱い女子を放置しても。

「おー、鮮やかな引き際」

感心したようにズボンのポケットに両手を突っ込む耕介。

そんな彼の鼻先を。

「!!!!」

雛罌粟の後ろ廻し蹴りが掠めていった。

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