愛をくれた神様
かおりの話・最後の会話

日曜日。

仕事は、お休みだったが私は仕事場へ向かっていた。 仕事をしに行くわけではなく、ただ仕事場の近くまで散歩しようという気になっただけだった。

明日は雨がふると言う。信じられないくらい空は晴れわたっていた。

部活の帰りだろうか。女子高生の2人組が細い足を組みあぐらをかいて座っている。アイスクリームを食べる笑顔がきらきらしていた。 私もついこないだまではあんな感じに笑っていたのかな、とふと思った。

裕樹はそれなりに、私に好きな人を想い、それだけで幸だった毎日を、私に与えてくれていたのだ。

裕樹と別れて24時間はたつのに、悲しみがわいてこない。 スッキリもしていない。ただ胸にあるのは、純粋に裕樹への感謝の気持ちだった。

お腹に手を当てる。裕樹の子をやどしていたかもしれないお腹。こうして、私が裕樹の事を思い出しながらお腹をなでるのも最後だろう。

ふと、顔をあげると、見覚えのある人影があった。
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