愛をくれた神様

「…こんにちは。」
あの、いつもの男の子だった。

「元気?。」

こんにちは、という返しもおなじみすぎるので、そう声をかけた。 男の子はこっくりうなずく。肩も、髪も、手のひらも、全てが小さかった。本当、子供だよなぁ、と思った。 小さなその手は、これから、何をつかむのだろう。その手で、誰かと手をつなぎ色々な事を学び、未来を切り開いていくのだろう。

「そういえば、ここにいるの今日までなんだっけ?。どこか行くの?。」

私は、ふとこの子が日曜日までいられないと言っていたのを思い出した。

男の子はうなずいた。笑顔だった。

「明日から、遠くに行く。明日からは雨だし、今度こそ、もういられないからさ。」

口調はさみしそうだった。私は彼がたぶんどこか遠いところへ引っ越しする予定で、今日はその最後の日なのかなと想像した。彼は笑顔だった。「あっそうだ。ハガキ今度こそ届くから。」

彼はそんななぞめいた発言をして、私が何か問いかけるまでもなく、反対方向へ走り去ってしまった。

「……ハガキ…?。」

ハガキって何だろう?

何かしっくりくるものを感じ、私は、ごそごそ…と あのハガキを取り出した。
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