廻音
その後、救急搬送された姉の状態や、先の警察官の登場は、近所からの通報である事、首回りの絞後などから、殺人未遂として取り扱われたけれど
姉は断固拒否し、起訴もしていない。

その心境は、姉以外が知る事は無いだろう。



恥ずかしい事に、当時私はというと、交際相手と旅行なんぞを楽しんでいた為に、蚊帳の外であった。

「折角の旅行だから」と両親からの謎の気遣いによって、一部始終を知るのは随分後となった。

事件後、彼女はとても痛ましく、けれど事件を切っ掛けに芽生えた感情は、より強く、そして美しく姉を変化させていた。

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