廻音
奏 來玖(カナデ ライク)、25歳。
職業、廻音の恋人。というのは來玖さんのネタらしいが、何処に笑いの要素が含まれているのかは、多分生涯の謎であろう。
当の本人は大真面目なのだから、そっとしておくのが優しさ…いや、彼風に言えば「愛」なのだ。

來玖さんもまた、「通常ではない」愛で方をする人だ。
「愛情表現」だと宣言してからの、肌に歯を突き立てる行為。
甘噛みではない。何時だって本気で、だ。
たった今の行為は愚か、幾日か後に思い出しただけで、沸々と怒りが湧く程の痛みを残してくれる。

酷い時には私の躰は、紫色に内出血した様な痣だらけになる。

此方が怒りを露にすれば決まって「俺を愛していない証拠だね。」と拗ねてみせる。
そう、とても綺麗な顔で。

生身の人間なのかと勘繰りたくなる程の美形は、其処までくれば逆に「苦手」だと感じてしまう。
容姿に欠点が無い=嫌味だとすら感じてしまう私は、紛う事なく卑屈に過ぎない。

「綺麗好き」な私を知ってか知らずか、彼のそういうところも武器になる。
目が合えば「見惚れる」に値する彼の前では、私に勝ち目など初めから無い。

あとは大人しく「愛」の餌食になるしか他は無いのだ。
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