廻音
骨と筋肉の割合。
スベスベとした感触。
甘い、動物性の匂い。

私は変態か、と一瞬落ち込むも、包まれている環境に沈み込む様な心地良さ。
ギュッと力を込めて彼に抱き付いた。

下から見上げる來玖さんは、やっぱり綺麗だった。

髪の毛を触り、頬まで指を這わす。
唇をなぞり、喉仏。
ゾクゾクと、鳥肌が快感だ。

指を上に戻し、鍵盤を横一列になぞる様に、けれどゆっくりと、長い睫毛に線を引く。



「ねーね…」

不意に名前を呼ばれ、衝動的に呼吸を止める。

「…起こしちゃった?」

叱られる事に怯える子供みたいな声色で問う。

「ん。くすぐったいよ。
大人しくしてなさい。
ほら、おいで。」

私の方に方向を転換し、躰一杯抱き締められる。

「來玖さん…暑いよー。」

「お仕置き。廻音冷たくてきもちぃ。」

対照的に体温が高い彼。
お仕置きは成功らしい。
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