エトセトラエトセトラ
彼女は血を吸うのが上手い。それは比喩でもなんでもなく、ただ文字通りの意味で。
彼女がもしじゅるじゅると下品な音を立てて血を吸っていたなら、僕はこうして彼女と一緒にはいないだろう。
どくどくと波打つ血流の、一際大きな波を目掛けて彼女は歯を埋める。
命を吸われるどうしようもない感覚に耐えられるのも、ちゅーちゅーと上品に血を吸う彼女を愛しいと思うから。
「ごちそうさま」
最後にぺろりと首筋をひと舐めして、彼女の食事は終わった。
「……だめだって、言ったでしょう」
彼女の腕がするりとほどけたのを見計らって、どさ、とベッドに頭を預ける。
目を瞑りながら力ない声で咎めると、彼女は僕の前髪をすいて微笑んだ。