エゴイストよ、赦せ
「三鷹だったら、異動先の希望は通るでしょ?」


「ある程度は、な。まあ、丁度良いかなって思ってたんだよ」


「区切りってやつ?」


「そうだなぁ……、そんなきっちりとしたものじゃないな。人生なんて、ハードディスクのパーティションみたいに区切れるものでもないしな」


「ハードディスクも、きっちりとは区切れないけど」


「細かい奴だな。イメージだよ、イメージ」


三鷹は煙草を取り出しながら、苦笑いする。


三鷹には、そんな考え方は似合わないと僕は思っていたから、彼の答えに、少しほっとしていた。


第二情報センターは、規模を大幅に縮小することが決定していて、現在のビルからも移転することが決まっていた。


三鷹はそれに合わせて3月末で会社を退職し、引っ越しもするのだと言う。

僕らが会うのもこれが最後かもしれない。

三鷹は「東京から二時間だ。フランスよりかは近い」などと、ローサのことを絡めてそう言ったけど、三鷹だって同じように思っていたから、僕を誘ったのだろう。
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