エゴイストよ、赦せ
ローサと出会ってから、僕はよく笑うようになった。

楽しいから? 嬉しいから? 

違うよ。

彼女が笑うからだ。

ローサはいつも笑っている気がする。

それだけが正しいみたいに、ニコニコと笑うんだ。

外側が下がっている、その大きな目が、さらに下がって三日月形になる。

重力の存在を確かめているのかもしれない。


人と人との関係って鏡みたいだ。

蔑まれるから、憎みたくなる。

見下されるから、嫉ましくなる。

嘲笑われるから、疎ましくなる。

感情を反射したくなるんだ。


ローサが僕に見せる笑顔は、仕事で見せるそれとは違うのだろうか。


今、何かを思った。

でも、すぐに忘れた。


「オプティミスト」僕は呟く。


「なにそれ?」


「ローサのこと」


「えー!? うーん、良い意味だよね?」


ほら、やっぱりそうだ。
< 22 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop