Anathema Reaper-呪いの収穫者-

「……」

心臓がドクリと鳴る。
嫌な汗が流れる。

『君は気付いてないようだけど……思った以上に深いな』

「深い……?」

『すぐ分かるよ。嫌でも実感することになるさ』

「……」

黙り込む廉。
そんな彼の額を、レンは人差し指で押した。

少しよろけ、足が一歩下がる。
その途端、足元がピシピシと嫌な音を立てた。

「……え?」

気付いたときには遅すぎた。

足元の床は崩れ、水が流れ落ちる。
床を踏み損ねた廉は、重力に逆らうこと無く、何も見えない暗闇へと落ちていった。

最後に彼が見たものは、口許に冷笑を浮かべ、上から廉を見下ろしているレンだった。

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