Anathema Reaper-呪いの収穫者-

その時。

「――古に語られし、悪魔の伝説。神に逆らいし天使。その名もルシフェル」

リュカの凛とした声が部屋に響く。

彼女の声を聞いた途端、レンがピクリと反応した。

若干首を絞める力が緩む。
正紀はうっすらと目を開ける。

「――誰か神のごとき。悪魔と戦いし、大天使。その名をミカエル」

リュカの持つ石板が、一段と赤く光る。
彼女は片手をレンに向け、大声で言った。

「――貴(むち)よ、今一度我に力を与えん!!」

赤い光がレンに向かって、勢いよく伸びていく。
正紀は目を丸くした。

「正紀っ!避けて!!」

「避けろっつったって……」

正紀はレンの手を何とか振りほどき、その場にしゃがんだ。

突然の事についていけないレン。
赤い光は彼を貫き、やがては消えた。

「くっ……」

レンは小さく呻き、その場に倒れた。

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