素直じゃないあたしを温めて

制服姿の美砂がカバンを持って立っていた。


時計を見るとまだ昼の2時。
学校はまだ終わってないはず。



「どうしたの?」


「ちょっと気分悪くて、早退したの」


「そうなの?大丈夫?早く休んで。今布団敷くから……」



あたしは立ち上がって、押し入れに向かおうとした時、



「さっきの話、聞いた」


「……え?」


「丁度帰って来た時、窓空いてたから、おばさんと話してるの、聞こえた」


「……じゃあ、気分が悪いのに1時間くらい外でずっと待ってたの?駄目じゃん、早く休んで」



あえて、さっきの話には触れない。
だって……


だって、怖いから。



美砂に何を思われるのか……




怖いから。



だから今は……

今は美砂から何も何も何も……

聞きたくない。



「無理しちゃ駄目でしょー美砂はいつも無理する────」


「お姉ちゃん」
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