素直じゃないあたしを温めて
「何があったとか知らないんだけど、絶対バイトしなきゃいけないらしいねっ」
「聞いてないんですか?・・・色々と」
「ん?何にも聞いてないわよ。ただ、俺の生徒にバイト探してる子が居るんだけど、雇ってくれないかって。琥珀ちゃんの高校は、バイト禁止なんだよね?だから、バレないようにって言われた」
そうなんだ。
柳瀬、あたしの事情、
新山さんに話してないんだ。
「バレないようにって言われてもねぇ……ほんと、あの人無茶な事考えるよねっ。疲れるでしょ?航太のクラスなんてっ」
冗談っぽく言って笑って
あたしにそう言った新山さんの笑顔は
柳瀬の笑った顔に似ていた。
兄弟とかじゃなくて、いとこでも
此処まで似るんだって思うとなんだか笑えてきた。
「あははっ、そうですねぇ……ハッキリ言うと面倒ですっ」
「だよねー、航太昔っからあんな感じだったからなぁ」
「そうなんですか」
新山さんも、柳瀬が母親に捨てられた
って事、身内なんだから知ってるんだよね。