幼なじみじゃイヤなんだ。 Before
「自己ちゅーとは失礼なっ!」



桜がぷりぷり怒っている。


あれはなんだったんだ?



あんな可愛いことを囁いた桜は、幻だったのか?



『一緒がいい』と言う根本は同じでも理由が現実的で打算的になっている!



全然違う!



寝ぼけてたんだ?

嬉しかっただけに、かなりのショック……。





「楽しいことも、大変なことも、流瑠と一緒がいいんだもん!そうじゃなきゃさしいもん」


「え?」





うなだれていた顔を上げると桜が笑ってる。


やっぱり、可愛いその笑顔を、また、ギュッと抱きしめたくなった。





「あのね。さっき夢を見たよ」

「え?」

「流瑠が私に『大好き』って言うの」

「なっ!?」





き、聞かれていた!?

寝ていたはずなのに、潜在意識で聞いていたのかよ!

しまった!また顔が赤くなっていく。




「ねぇ、流瑠。私も大好き!」




もう、熱は引いてくれない。




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