期間限定の婚約者
「あ、これは……。パパの会社でパーティがあるから。パパに今年は参加してみないか?って言われて。着ていくパーティドレスに合わせて、初めてネイルしてもらったの。ネイルもどこでしたらいいのかわからなくて。いつもいく美容院で……」

「社長の息子の嫁がいるってところだっけ?」
「あ、うん。そこ」

 新垣さんが私の手をとり、爪をまじまじと見つめた。

「で? ネイリストは誰だったか覚えてるのか?」
「あ……ごめんなさい。覚えてないです」
 嘘。冬馬さんだったよ……とは言えない。

 言ってしまったら、きっと今の私たちの関係は壊れてしまうから。
 あと一か月。私は今の関係を続けたい。

「ま、確かに。覚えてるわけないか。瑠衣、一つ確認なんだが。そのパパの会社のパーティ、俺の会社のパーティでもあるんだが? 誰と行くの?」
「え? 誰と?って」

「同伴者のはなし。パパに誘われたからって、パパの同伴者? 俺の同伴者?」
「新垣さんと一緒に行ってもいいんですか?」
「お見合いして、俺らって付き合ってんだろ?」
「あ……はい」

 たぶん、と心の中で呟く。
 期限付きの付き合い。
 お義母さんと約束しているの。新垣さんの想い人以上の存在に私がなれなければ、私はパパの取引先の人と結婚するって。

 そして、お義母さんと新垣さんは今まで通りの関係に戻る。

「付き合ってるなら、俺が同伴者だろ。パーティで美味しいものを食べて、そのままホテルに泊まるか」
「いいんですか?」
「パーティで酒を飲んだら、車で瑠衣を送れなくなるからな。ホテルに泊まったほうがいいだろ」
「あ、それなら私、電車で帰れますよ?」

「またその話かよ。逆戻り」と新垣さんが苦笑した。
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