花散らしの雨
翌日。
俺は昨日と同じ時間、同じ場所に居た。
今日も運動場で練習中の運動部からは、せいを出し励んでいる声が聞こえてくる。
俺は昨日より少し進んだ桜の絵を開き、クロッキーエンピツを取り出した。
「今日で下描きが終わればいいけど…」
桜は細かい。
俺はどちらかというと鮮明に描く方が好きだから、例えヨレヨレのエンピツ捌きだとしても描き込んでしまう。
ズレたら消し、修正しての繰り返し。
おかげでスケッチブックの毛羽立ちが半端なく、水彩を置いたとき独特な滲みがでる。
まぁそれも味だろ、と今の俺は思っているし、だから画材に水彩を選んだというのもある。
……昔は普通のアクリル絵の具を使ってたんだけど。
毛羽立ったスケッチブックとこんなに相性の悪いものはない。
黙々と俺はスケッチを開始した。
昨日描いた線を細かく描き込み修正していく。
ライオンからは脱出したんじゃね?
と思える絵に…なったはずだ。
桜はもうほぼ満開。
ここ一週間くらいがピークだろう。
「あーいぃ天気ねー!」
……頭上から声が降ってきた。
これはあれだ、空耳だ。
「空耳だ」
「ちょっと桂!!女の子の知り合いの声を空耳なんてヒドーい!」
…仕方なく見上げる。
「…美輪」
「おはようっ」
見上げるとやはり昨日の少女。
ふわふわとした茶髪がそよ風に靡いている。
「…おはよ」
「元気ないわねー桂!」
どうにも調子を吸い取られる感じだ。
だが例え生意気でも小さな女の子を無下にするのは良心みたいなのが痛む。
「美輪と会って、俺案外人がいぃ事に気付いた」
「どういう意味それっ」
俺は昨日と同じ時間、同じ場所に居た。
今日も運動場で練習中の運動部からは、せいを出し励んでいる声が聞こえてくる。
俺は昨日より少し進んだ桜の絵を開き、クロッキーエンピツを取り出した。
「今日で下描きが終わればいいけど…」
桜は細かい。
俺はどちらかというと鮮明に描く方が好きだから、例えヨレヨレのエンピツ捌きだとしても描き込んでしまう。
ズレたら消し、修正しての繰り返し。
おかげでスケッチブックの毛羽立ちが半端なく、水彩を置いたとき独特な滲みがでる。
まぁそれも味だろ、と今の俺は思っているし、だから画材に水彩を選んだというのもある。
……昔は普通のアクリル絵の具を使ってたんだけど。
毛羽立ったスケッチブックとこんなに相性の悪いものはない。
黙々と俺はスケッチを開始した。
昨日描いた線を細かく描き込み修正していく。
ライオンからは脱出したんじゃね?
と思える絵に…なったはずだ。
桜はもうほぼ満開。
ここ一週間くらいがピークだろう。
「あーいぃ天気ねー!」
……頭上から声が降ってきた。
これはあれだ、空耳だ。
「空耳だ」
「ちょっと桂!!女の子の知り合いの声を空耳なんてヒドーい!」
…仕方なく見上げる。
「…美輪」
「おはようっ」
見上げるとやはり昨日の少女。
ふわふわとした茶髪がそよ風に靡いている。
「…おはよ」
「元気ないわねー桂!」
どうにも調子を吸い取られる感じだ。
だが例え生意気でも小さな女の子を無下にするのは良心みたいなのが痛む。
「美輪と会って、俺案外人がいぃ事に気付いた」
「どういう意味それっ」