Mail
 『授業はわかりやすいんだけど余談が多くて、よく他の先生方に怒られてた。
その時あたしはもうイジメられてて、よく学校の屋上でサボってたの。そしたら、いつだったかその実習生が来て、あたしの横でタバコ吸い始めて、あたしに大丈夫ですかって。イジメられてからそんなこと言われたの初めてだったからなんだか嬉しくて。
そしたら今度は自分の昔話始めちゃって。ホント、変な人だったんだよね
でも、いい人だった』
 あたしはその時のことを思い出しながら懐かしくなった。
『どんな風に?』
『どんな風……?んん―、あたしの話を聞いてくれた』
 しばらく詩季から返事がこなかった。
『それだけでいい人になるの?』
 なんかいつもの詩季らしくないと思いながらも返事を打った。
『あたしにはそれだけで良かった。何も言わなくても、黙って聞いてくれるだけでいいの』
 またややあって返事がきた。
『そっか』
 いつもよりも素っ気ない返事が気になったが、聞かなかった。
『うん』


 それから、あたしの唯一楽しみはは屋上でその実習生と他愛もない話をすることだけだった。
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