Mail
 『そう言えば、詩季はどうやってこのアドレス知ったの?』
 あたしはなんとなくその事を思い出して、聞いてみた。
『その……合コンが……』
『先生が合コンなんて行くんですか?!』
『いやっ、違うんだ!大学の時の友達に人数が足りないって言われて、しかたなくだよ!』
 詩季が焦るようにそう返してきた。
「そんな焦んなくても」
『別に付き合ってるわけじゃないんだから……。ただ意外で驚いただけです。んで。どうやって聞いたんですか』
『そこで北海道から上京してきたって言う女の子がいて。その子と話が盛り上がったんだ。それでアドレス教えるからメールくれっていわれて……』
『それがこのアドレスだったんですか?』『そう。どうかした?』
 やっぱり不思議だ。
『あたしのアドレスを知っているのは家族と幼なじみだけなんです。その人達だけのはずなんです。なのに……』
 なのになんで?
 考えれば考えるほど不思議でならなかった。
 一つだけ考えられるとすれば……。
『詩季。あたしの幼なじみ、知らないよね?』
 あたしには、考えたくはなかったが、それしかもう考えられなかった
『櫻の……?知らないけど』
「だよね……」
『ならいいです。今日はもう遅いから寝ます。おやすみなさい』
 あたしは少しホッとしていた。
 もう十七年近くも一緒にいる友達を疑うなんてどうかしてる。そう思いながらも、まだ完全にあたしの中で彩女に対する疑いが晴れたわけではなかった。
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