Mail
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 「何でここにいるのって感じ?」
 あたしが何も言わないでいると、詩季が先に口を開いた。
「……」
 きっと言いたいことはたくさんあるはずなのに、何も出てこない。
「櫻?」
 名前を呼ばれてハッと気付くと、先生が心配そうに顔をのぞき込んでいる。
「すみません。とりあえず上がってください」


 「……何にもないね」
 先生はあたしの部屋を見渡して、苦笑いしながら言った。
「それよりなんで先生がここにいるんですか」
「先生ってやめてもらえないかな。もう櫻の先生じゃないし、それに櫻には詩季って呼ばれなれてるからちょっと気持ち悪いかな」
「そっか。そうですね」
 あたしは今目の前に詩季がいることがすごく不思議な感じだった。
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