永遠の愛
「仕事、忙しくてさ。今から行かねぇといけねぇから」
“ごめん”
付け加えるかの様に言った翔は顔を顰めて一息吐く。
「そっか…。って言うかさ、もしかしてわざわざ私迎えに来るために来たの?」
「あぁ」
「えっ、何で?」
「何でって一番に会いたかったから。ただそれだけ」
サラっとそう言った翔に心臓がドキドキした。
ドキドキと言うか、何か変な感じ。
久し振りにあった所為なんだろうか。
昔はドキドキするって言う感情さえあまり出なかったのに…
「…なんか、ごめん。私の為にわざわざ」
「全然」
「仕事いつ終わる?」
「さぁ…どうだろ。けどまぁ、今日はお母さんとゆっくり居ろよ。久々なんだし」
「うん…」
「でも明日はあけとけよ。仕事終わったら連絡する」
「分かった」
ガチャっと不意に聞こえた音。
思わず視線を玄関に向けると、
「美咲ーっ、」
パタパタとサンダルの音を響かせながら私に抱きついてきたのは葵だった。