永遠の愛
「お父さんが離婚を決めた時、どっちに着いて行くって言われて…私、母を選んだ。何でお母さんを選んだんだろう」
“お父さんに会いたい”
付け加えられた言葉に胸が苦しくなってしまった。
それぞれの家庭事情があったとしても、何か複雑な気分だった。
だから何も口が開かなかった。
何かを言わなくちゃいけないって思ったんだけど、思う様に口が開かなかった。
「…センセ?ごめんね、こんな事言って。…おやすみなさい」
口を開かない私の変わりに天野さんはそう言って、私に背を向けた。
この広い世界じゃ、当たり前にそれぞれ違う家庭で家族がある。
嫌いな人もいれば好きな人も居る。
天野さんが言った“お父さんに会いたい”と言う言葉がやけに頭にすみついてた。
もう会わないと決めた私のお父さん。
実際は父だなんて認めてない。
…私はお母さんに会いたい。
なんか複雑な気分で、その日は目を閉じても眠りにつけなかった。