永遠の愛
重い瞼が少しづつ開く。
全然寝てない所為か頭が重く目も冴えないまま。
微かに見えるのはカーテンの隙間からの光。
頭を擦りながら身体を壁に向けた時、思わずハッと意識が戻った。
隣に居たはずの天野さんが居ない。
慌ててベッドから抜けだし、私はリビングに顔を出す。
「あ、おはようございます」
「おはよ…」
「すみません。勝手に洗面所借りちゃいました」
「あ、うん。いいけど…」
昨日とは裏腹に笑顔でそう言ってくる天野さんは髪もちゃんと整えて、制服を着こなしている。
「センセ?有り難うございました」
深く頭を下げた天野さんはソファーに置いている鞄を肩に掛ける。
「え?もう行くの?」
そう言った私は慌てて時計に目を向ける。
…7時30分。
「はい。バイト遅れちゃうんで」
「遅れるって、こんな朝早くから?何してんの?」
「24時間の喫茶店。夜からはバーになるんです」
「へぇー…って言うか、朝食べないの?」
「間にあわないからいいです。では、また学校で」
ニコっと笑った天野さんは私に背を向けて玄関に向かった。