永遠の愛
刻む傷の証
天野さんが言った事が頭から離れないまま日は過ぎ、気づけば卒業目前まできてた。
そして何が目的でここに来たのかも分らない墓場。
気づけば足が向かって来てたのはあたしのママじゃない、翔のお母さんの墓場だった。
ママのお墓に行くつもりが気づけばここに来てた。
何を伝えたかったのかも分らない。
何でここに来たのかも分らない。
でも、翔があたしのママのお墓に足を運んでくれた分、何故かこうしなくちゃいけないって言う思いは心のどこかにあった。
「…久しぶりですね」
顔も見た事なければ声も聞いたことのないお母さん。
大切な母親が居ないと言う、翔と同じ立場に立たされた今、途轍もなく切なくて苦しい。
…願うなら、苦しみのない人生を送りたい。
そんな事、無理って分ってんのにそう思うの。
とりあえず持って来てた線香に火を点け、線香をたてる。
交わす言葉さえ何もなくて、ユラユラと頭上に上っていく煙をただ、ひらすらに見つめてた。
冷たい風が頬を突き刺し、悴む手をギュッと握りしめて、
「…会いたかったです」
気づけば小さく呟いていた。