永遠の愛
公園に着くと、さすが寒さの所為か人はそんなに多くは寄りついては居なかった。
香恋ちゃんは寒さ関係なしに走り回り、滑り台にへと駆け寄る。
そんな光景を見ながらあたしはベンチに座って、白い息をハーっと吐いた。
子供ってきっと“無”なんだと思う。
喜怒哀楽はあるものの、心はまだ透き通ったまま。
あたしも、あんな頃があったんだな。と、ふと思った。
ママとだって一緒に来た公園の記憶だってある。
でも一番強いのがあの美術館だった。
今でも新鮮に覚えてて、私を導かしてくれた場所。
目の前でキャッキャッ笑う香恋ちゃんを見ながら、そう昔の記憶に浸ってた。
「…みぃちゃん!」
暫く経って、そう呼んだ香恋ちゃんは滑り台の一番上から大きく手を振る。
それに答えるかのように、私は柔らかく笑って手を振った。
“…みぃちゃん”
そう呼ばれることに何だか違和感を感じてしまう。
ずっと、ずっと翔に呼ばれてた名前だから、そう呼ばれる事に頭の片隅で翔が浮かんでどうしようもなかった。