永遠の愛
「…翔は何も変わってないね」
大人っぽくなった以外は…
あの頃も大人っぽかった。
でも、あの時よりも紳士になってる。
「うん?俺?」
「うん」
「だって変わるとこなんてどこもねぇもん。あ、そうだ。とりあえず先に美咲んちに行こ」
「え、あ…うん」
先に歩く翔の後を私は追う。
そして少し歩いた先に見えたのは駐車場。
その中で目に飛び込んできたのは相変わらず黒光りの高級車だった。
「あれ?車かえたの?」
「そうそう変えた」
「相変わらず高そうだねぇ…」
「そんな事ねぇけど。うわっ、すんげぇ暑い」
車のドアを開けた翔は顔を顰め、エンジンを掛けて窓を全開する。
「うん、暑いね…」
助手席のドアを開けた私はそう呟き、シートに腰を下ろす。
冷房の冷たい風が私の前髪を揺らした。
「向こうってさ、冬だろ?真逆だから身体に堪えるんじゃねぇの?」
「んー…どうだろ。冬って言う割には気温20とかだし」
「あー…そんなもんだっけ?」
「うん。でもこんな30度以上あったらキツイけどね」
「だろ?」
「って言うか翔さ、身体大丈夫なの?」
忘れてなんかいなかった。
これだけは会えなくてもずっとずっと心配してた。
でも、何でかしんないけど電話では聞けなかった。