嘘つきヴァンパイア様
「触らないでっ。ばかっ…」
「馬鹿なのはお前だろ。俺からは逃げられないだよ」
「…あっ」
腕を掴まれ、乱暴に引き寄せられれば、そのまま呉羽の腕と胸に収まった。
さきほど、拒否はしたが、抱かれるとつい抵抗する気など起きない。
そのまま呉羽の着物を涼子はぎゅうと握りしめる。
「本当に悪かった。涼子の気持ち、考えなかった」
「本当…だよ。馬鹿、呉羽…」
「あぁ。けど、涼子の傍には俺がいる。だから、大丈夫だよ。俺を信じろ。寂しくなんかさせない」
呉羽の言葉はいつも通り真っ直ぐだと、彼女は思った。
みんなと、2度と会えないのは寂しいが、呉羽がいるなら…大丈夫なのだろうか。
いや、大丈夫なわけがない。寂しいに決まってる。
けれども、呉羽の思いをふみにじりたくなく、涼子は頷いた。
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