嘘つきヴァンパイア様


「仕方がないだろ。俺だって、切羽詰まってたんだよ。冷静なふりはしていたが、涼子を冥界に連れて来たかった。俺のものにしたかったんだよ」


「だからって…」


挨拶だけだと思っていたから、別れの挨拶など誰にもしていない。

母親や楓を含む友人達、お世話になった学校の先生。



二度と帰れないのなら、最後に顔だけが見たかった。そんな思いが溢れ、涼子は両手で顔を覆った。


「そんなの、ひどいよ。呉羽のばかっ。ちゃんと言って欲しかったのにっ」


「だから…それは…」

「ばかっ!ばかっ」

「…分かったよ。悪かった。泣くなって」


涼子に近寄り肩をだいた。そのまま胸に引き寄せようとすると、彼女はそれを拒否し呉羽から離れた。




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