嘘つきヴァンパイア様


「それより、ユノ。お湯の準備を頼む。身体中、人間くさくてな」


着物を犬のように嗅ぎ、酷く不愉快な顔をした。

そして、また…いつの日のように唇を拭う。


その仕草にユノは溜息をはいた。

「涼子様に、失礼ですよ」


「仕方が無いだろ。あんな女愛してなんかない。不愉快なんだよ」

「それで、よく機能したものです」


呉羽は立ち止まり、振り返りながら肩をあげて笑う。

「さっき言っただろ。身体は、女だった」


「左様ですか。わかりました。取り合えず、御用します。お部屋でお待ち下さい」


そのまま、ユノは頭をさげ暗闇に消えていく。それを見ていた呉羽は自身の部屋に戻った。

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