嘘つきヴァンパイア様



そんなことを考えながら、ふっと脚を止め大きな窓から冥界の景色を眺める。


ここの景色は涼子がいた部屋の景色とは随分違う。


見えるのは屋敷内の、とても広い庭。


真ん中には大きな噴水。近くには、木で出来たブランコ。



そして、その庭を囲むように存在する白いバラの華。

少し離れた場所には、白い屋根の東屋があり、月の光しかない庭には、所々にまん丸のランプが輝いている。

「綺麗…」


無意識に出た言葉。涼子は窓に近寄り頬杖をつく。


あまりにも、綺麗な庭で「出てみたいな」と、涼子は思う。


それが許されるか分からない。けれど、呉羽に言ってみよう。そう思うと、庭に数人の人だかりらしきモノが彼女の目に映った。




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