嘘つきヴァンパイア様
「なんだよ、その顔」
「え……っ?」
息を乱す涼子に、彼はそういい放ち濡れた着物に手をかける。
呉羽の手を身体が感じた瞬間、弄る手を咄嗟に拒もうと力を入れる。が、涼子は直ぐにそれをやめた。
(いいか…ここ、外だけど……私も呉羽に触れたい)
手の力を抜き、その身を委ねる。
彼の片手が背中に移動し、もう片方の手で膨らみに触れ、唇を落とす。
呉羽の熱い唇と柔らかい物が触れ、身体が反応しピクリと揺れた時だった。
「えー……ゴホン。呉羽様、いい加減、目のやり場に困るんですが」
少し離れた場所から、わざとらしい咳払いと声が響く。
聞いたことのない声に、涼子が振り向くとそこには、呉羽が「家来」と呼ぶ神様達の姿があった。
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