嘘つきヴァンパイア様
『君の、名前は?』
『…』
『そうか、素敵な名前だ。君に似合っている』
「……え」
「…?」
断片的な映像に、涼子の動きが止まった。
真っ暗の世界に月だけが美しく輝いていた。そして、月光に照らされる見知らぬ二人の男女。懐かしいような、不思議な感覚を感じ、いつも見る映像とは違う…と、涼子は思った。
「…な、に」
思わず声が漏れると、男は首を傾げ顔を覗き込んでくる。
「え?なにか言った?」
「あっ、い、いえ。ごめんなさい」
間近に迫った整った顔に、頬が赤くそまる。身体も心なしか熱を帯び軽く頭を下げバック肩にかける。
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