嘘つきヴァンパイア様
少し俯き、駆け足で歩けば、心臓が物凄い速さで動いていた。「二度と外ではしない」そう心に決め、屋敷内に繋がる扉に近づく。
すると、外に立っていたテュポンが扉を開け、赤くなった顔を見られないように中にはいった。
***
涼子が逃げるように、庭から去ったあと、呉羽はわざとらしくため息を吐いた。拘束されていた手を振り払い、おもむろに腕を組む。
「逃げられた。お前らのせいだ」
「なにを言っている。我らがいると知ってわざと手を出しただろ」
家来たちの言葉に呉羽は鼻で嘲笑う。
家来達の言うとおり、呉羽はいると知っておきながら手を出した。最近、毎日のように涼子を抱いていた。
だから、どのくらい自分に夢中になっているか確かめたかったのだ。
そしたら、予想外なことが起きた。まさか涼子から積極的に攻めてくるなど、考えていなかったから。
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