嘘つきヴァンパイア様
ハラハラしながら彼らを見ていれば、呉羽はムッと口元を引き締め反抗した。
「それは俺の台詞だ。お前らはいつまで俺を拘束するつもりだ!毎日毎日、朝から夜遅くまで仕事をさせやがって」
「お前は俺らの王だろう!文句を言うな!」
「文句のひとつくらい言わせろ!中断された涼子の事も考えろよ」
家来たちの視線が一斉に涼子に集まり、「中断された」との言葉に慌てて首と手を左右に振る。
ただでさえ、恥かしい所を見られていたのに、どこまで恥をかかせるつもりなのだろう。
身体の熱はどんどんと上がっていき逃げるように彼女は立ち上がった。
「あの、私……屋敷に戻ります。ど、どうぞ、お仕事を続けて下さい!し、失礼しました」
「え、ちょ、涼子」
(これ以上、ここにいたら、恥かしくてどうかなっちゃう!)
呉羽が引き止めようと伸ばした手を上手く避け、家来達に頭をさげた彼女は一目散に屋敷の中に戻る。
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