嘘つきヴァンパイア様
「その…ごめんな、さい……ひゃっ」
頭を下げれば、また激しい音が屋敷内に響き涼子の体が震えた。
雷の怖さと呉羽の怖さに涙がうかぶ。
それを必死に堪えるが堪えることなど出来なく、頬を伝うと呆れたように呉羽はランプを床においた。
「なんで、泣くんだよ。謝る前に、否定しろよ。まったく…手間をやかせやがって。この馬鹿!」
突如として繋がれた手をひかれ、そのまま肩が砕けてしまいそうなほど、力強く涼子を抱き締める。
息苦しいほどの抱擁なのに、涼子の腕は既に呉羽の背中に回っていた。
ほしくて欲して、仕方がなかった温もり。その暖かさに身を委ねれば鳴り響く雷など怖くない。
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